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万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

「40年前の自分に挑戦」レベル1/72 ファルコ プロローグ2

改めて製作を前提にしてキットをチェックする。

前回

 

sigdesig.hatenablog.com

 

このレベルの「ファルコ」のキットは何度もあちこちに金型が渡って再販されてきた。ファイターシリーズの中でも出来が良い方、なんだと思う。マイナー機種で競合キットが出なかったため、という事もあるが。いやそっちの方が大きいか。イタレリというメーカーから比較的新しい良く出来たキットが出たので現在ではお役御免、さしずめミラノの洋麺問屋のご隠居さんといったあたりだろう。

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エンジンだけは妙に凝っているが、細かいディテールやパーツ数は60年代そのものだコクピットはL字型の椅子だけ、機銃はとろけたような棒が二本。太い凸モールドと戦車みたいなリベット、羽布張り表現のイボイボはまるで鳥肌だ。

まあ古いキットを吊るしあげて現代の目で罵倒するなど根性の小さいことはやめておこう。21世紀のスタンダードで作るなら相当手を入れる必要があることだけは確かだ。

ざっと見ただけで、プロペラ、機首の修正、モールド彫り直し、小物パーツをシャープに削る、などなどウンザリするような工程の数々が思い浮かぶ。そこまでやっても、精密さ正確さはイタレリのキットストレート組みの足下にも及ばない。ならばそっちを買い直したほうがよほど利口だ。チキンラーメンをどれだけ手間掛けて作っても「ラ王」の味にはかなわない。そういうことだ。

心の中で囁き声が聞こえる。

「こんなオールドキット、ストレートで上等やん。ノスタルジイ気分で鼻唄まじりの”お気楽作り”でええネンて。そんな根詰めてるヒマないし。紙粘土に砂まいたベースに乗せたら誤魔化せる。それ見てピザでも食おうや、オーソレミーオ」

 

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まあ、異論はない。今まで、古いキットはそうしてきた。新しいキットでも"お気楽つくり"だったりするけど。

しかしなあ、「お気楽づくり」では40年も後生大事に抱えてきたこのキットと、いつかリベンジをと企んできた自分に対して、なんだか申し訳が立たん気がする。

そう、今の自分に足りないのは「ヒマや時間」ではなく、模型作りに対する「情熱」なんだろう。40年前の自分には「プラモ作りたいっ!」という強い思いがあった。あの頃だって中間試験、期末試験に追われながら模型を作っていた(低脳な自分の場合、追試と補習がこれに加わる)そして完成品をクラスの模型好きで持ち寄って並べる、それだけで楽しかった。

年を経るにしたがい、「俺の方がうまい」とか、「注目されたい」とか、「イイネ!が欲しい」とか、余計な事を考え出すようになる。段々と動機が歪んだものになってくるのだ。他人の目を気にして模型作りの楽しみよりは苦しみの方が増えてきてしまう。

それなら現在の精一杯の力で出来る限りこの太古のキットを仕上げてみよう。40年前の自分自身にチャレンジする。40年前の自分をライバルにみたて、それを「モチベーション」として、自分の尻を蹴り飛ばしていく。

  

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製作にあたって、安易に「大人の経済力」を行使するのは自ら禁じ手と決めた。イタレリのキットを買ってきてデカールや小物パーツを流用すれば楽勝だが、そんな金の力にモノを言わせるようなマネは昔も今も自分は好まない。単にビンボータレなだけかもしれないが。いつも通り、あくまでこのキットを基本にして手を加えていく。

展示会出品を第一に考えればこれほど無意味な行為はない。苦心して完成したところで古いレベルの小さな1/72の複葉機。そんなのあってもなくても変わらない。労力の無駄遣いそのもの。しかし誰の為に模型を作るのか?ノルマがなんじゃい。テーマがどないしてん。自分は今、これが作りたい。あの頃作った完成品は今でも憶えている。それを凌駕してやろうではないか。

15歳の自分と今の自分の2人きりの対決

よおし、あんにゃろー、見ちょれよー。

 

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若き日の自分の完成品。中央の棚の上に「ファルコ」がある。伊仏露とこの頃からのマイナー好みが見て取れる.