sig de sig

万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

カメラの佇まい

Stylus-1は万能カメラである。
機能の点では何も言うことはない。

 

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ただツーリングカメラとして使う上で気になることもある。

 

 

一つは当たり前のことだが、そもそも仕事用のカメラであること。
ツーリングなどに使うと振動や衝撃、雨が掛かる、など故障のリスクが増える。
歴代のツーリングカメラはほぼ故障で一線を退いている。
実を言うと仕事用のPanasonic FZ-5が壊れたのも"デク"ことNikonV1君の代わりにと、
日帰りツーリングに連れ出した直後のことだったのだ。

壊れればたちまち次の日の仕事で困ることになる。
いつまでも兼用にしているわけにも、いかない。
 
もう一つはカメラの「佇まい」
 
齢五十を越え、ハイテクジャケットから革ジャンに衣替えした今の自分にとって、
ツーリングにおける「風情と趣き」は大切なことだ。
 
Stylus-1所有欲を満たす類いの質感や精密感に富んでいる方とは言えない。
もとは仕事用として選んだからそういった情緒性は考慮しなかった。
今思えばGRDNikonV1にはそれがあったのだろう。

さらにこのカメラ、必要以上に他人の注意を引き付けてしまう面がある様だ。
やや大柄でオリンパスのミラーレス一眼のOM-Dそっくりの見た目だからか、一般の人からすれば一眼レフに見えるようだ。豆センサーだ固定レンズだずいぶん値段が違うなんてことは、はた目にはわからない。
 
確かに、レンズを繰り出してファインダーを覗いて構えると、まるでスナイパーが獲物を狙うかのごときアグレッシブな雰囲気になる。
この点ではNikon V1はとても良くできたウォームなデザインだった。
まあ同じ理由でV2を自分は候補から外したのだが。。。

いずれにせよ、カフェや蕎麦屋でこのStylus-1を構えていると
店員や隣の客に微妙な緊張感が漂うのが察せられる。
 
「てめえ、さしずめカメラオタクだな」
 
的な視線をひしひし感じる。
テーブルの上に置いておくとウエイトレスの警戒度が上がるのはGRDの比ではなかろう
信州の大自然の中の一軒家で営む素敵なベイカリーで
天然酵母のざっくりとしたカンパーニュにレンズを向けた時、
お店の奥さんの視線はこの黒光りするStylus-1にちらと注がれた。
自分でも気後れするのを感じた。
 
そう、あの時以来、
 
自分はStylus1を本来の居場所、ビジネスバッグの中に戻すことにした。
 
そうして、「佇まい」のある趣味のカメラを探すことにした。