とてもとても手触りのいい革を見つけてしまったのである。
チョット造り物をしようと思って手芸屋さんでビニールレザーを買った。
最近のビニールレザーは色も艶も手触りも殆ど革と見分けが付かない。
帰りにヒョイト革細工売り場に寄って、
よせばいいのにビニールレザーとそこにある本革を触り比べてみた。
そうして「ううむこれは」とうめいたのである。。。
他の革とも違ってそれだけはまるで掌に吸い付く様だ。
もうずっと撫でていたくなる。
もう一方のビニールレザーは、持つ手が冷たく汗ばんでいるのに気付いた。
やっぱり工業製品なのである。
とはいえ新聞紙ほどの大きさのその革はビニールレザーの10倍の値札。
その日2度目の「ううむこれは」で流石に諦めた。
が、やっぱり諦めきれない。
あの手触り、厚み、色の具合、革の表面の艶。
自然素材は同じものは二つとない。
それで、愛しの本革を買いに行ってきた。
売れてないでくれ、と願っていたら果たして、
あの日と同じ様に「てろりん」と売り場に下がって自分を待っていてくれた。
この革、何を作るというあてもないけど。
財布の遣り繰りは、なんとかなる。