一夜明けた。ダメ男にもダメツーリングにも朝は来る。
窓の外、天候はまずまず。
単車乗りにとって好天はなによりの幸運。
単車乗りにとって好天はなによりの幸運。
今、この一瞬、俺とバイクと道しかない。
「このために」、ここまで来ている。食い物のためではない
カメラのためではない
バイクは走ってナンボじゃないか。
昨日のことがあるから、諏訪からは中央道に乗って先を急いだ。
凝った建築で、庭を通る通路や入口にいたるまでデザインしてある。
なんだか緊張してくる。お店の外観同様インテリアも「モダン」なことこの上ない。
厨房の中の才気溢れる、といった面立ちのご主人とおぼしきはまだ若い。
店内のやや緊張感のある雰囲気とは打って変わって、
レジのおかみさんはお会計に並ぶお客さんごとに如才なくお愛想を並べてる。
さだめしご主人のお母さんだろうか。
どこからですか、大阪?へえ、バイクで、そりゃあまあ、天気がよくて結構でした。
などなどを、はあはあと受け流していたら、なぜだかご当地天然水のペットボトルを土産にくれた。店を出た駐車場で紅葉を眺めながらホっと一息、その水を飲む。
そこにバルルンとオフロードバイクが駐車場に入ってきた。
遠くからちょこんと会釈をしたライダー君、バイクを降りるや、すたたたーと軽快な小走りで近寄って来る。
「こんにちわぁー。ここ、おいしかったですぅ?」
「ん、うまかったよ」
中途半端なイントネーションと微笑で社交辞令を返す。
「ほんまですぅ〜?、うわ〜やっぱりなぁ、ほな行ってきますぅ〜」
ジミー君はなんどもぺこぺこしながらすたたたーと小走りに走って行った。
駐車場を出る時に見たオフロードバイクのナンバーはやはり「大阪」だった。
なんで大阪人はあんなに人懐っこいのか。
一応こちらも大阪ナンバーをぶら下げてはいるのだが。
自分の生まれ育ちそして今も住む土地は京都と大阪のちょうど中間地点に位置する。
政治経済的には大阪だが、文化心情的には京都の方により親しみを抱いている。古代の行政区分はどうだったか知らない。
古墳はたくさんあるからハニワ程度の人懐っこさはあるはずだ。