sig de sig

万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

五十になったら革ジャンパー その3 「Train in the rain 」

それでもやはり着てみると革ジャンは革ジャン。
最初はやっぱり硬くてゴワつくのである。
革ジャンは買ってからがスタートなのだ。。。

 着込んで育てて馴染ませて、ようやく自分のものになる。

それからはとにかくもうひたすら着た。
 
暑かろうが寒かろうが着る。
バイクだけでなく車だろうが地下鉄だろうが革ジャンを着て行く。
外だけでなく事務所でも着る。
着るだけじゃなくモップがけなどの作業をする。
 
そのうち自分の体の動きにあったシワが革ジャンに付いてくる。
着ない時はガレージに吊っておき、時折軽くホースオイルを入れてやる。
革は徐々に柔らかくなってきてくれる。
 
バイクに乗ってると雨に合う。
それでもカッパなど着ずにそのまま革ジャンで走る。
水に濡れた革は乾く時に縮むという。
だから、
しばらくは脱がないでおき自分の身体のラインに沿って縮んでくれるに任せる。
そのあとはきちんとオイルを入れてやる。
 
これをバイク乗りは「革ジャンを雨で鍛える」などと称する。
 
お洒落で着るならマネしない方がいい。
場合によっては、雨染みが出来たり変色したりヒビ割れしたりする。
「ヨレヨレでもカサカサでも自分の第二の皮膚の様になった革ジャンこそが、何物にも替え難い宝」そう考える馬鹿者だけがすることだ
 
革ジャン買ったばかりだからと曇り空のツーリングに来ない人間もいる。
「お前ら有象無象の安もんと違って高いんじゃ」と言わんばかり。
そう言う手合いとは、ちょっとソリがあわぬ自分になってきた。
そういえば奴はトライアンフを買ったんだろうか?
まあハナから覚えちゃいないオンリーマウスだろうが。
 
さてそうやって数年を経た。
 
自分の革ジャン、いいぐあいに風合いが出て、というところまではまだいかない。
けれども、この頃はすっかり体に馴染んできた。
バイクを操るのにも普段着にするのにもなんの気構えもいらない。
 
コイツをどこにでも着て行く。

バーに飲みにいくのに、ナイロンのバイクウェアを着ていくわけにはいかないが、革ジャンを着ていくことはできる。
単車乗りである、という自分のスタイルを身にまといつつ酒を呑み、
次の朝、紫煙とウイスキーの香りを吸った革ジャンで単車に乗る。
 
そんな俺の革ジャン、上等ではないが、気に入っている。
 
 
 
胸のピンバッジは"Royal Air Force"のもの。
無論、安物のイミティションである。
学生時代にフェアフォードのエアショーの出店で手に入れたものだから
本場モノには違いない。
このバッジは歴代の自分のバイクジャケットに付けてきた、
お守りみたようなものです。