自分は大きな船の船員で、航海中のデッキのテーブルに座っている・・・
すると女性が現れた。
知っている顔だが、目尻のシワの割は随分増えた。
えらく高価なものを携えて羽振り良さそうだ。
傍らに「今度の彼」らしき年かさで白髪まじりの金持ちそうな男が腰掛けている。
似合わぬ背伸びなどして、子供だっているだろうにとなじると、ケタケタ笑って
「子供なんて巣立っていくものよ。ほら」
指に挟んだ煙草でさすその先に視線を送ると、船尾が ぱかりと両方に開いて、
小さなボートが二隻出ていく。
あっと思わず椅子から腰をあげた。。。
乗っているのは自分の息子達ではないか。
それにあれはどうやら競艇用のボートだ。
こんな広い海になんて無茶だ。
フェリーが舵を切るたびに大揺れに揺れ、波に飲まれそうになっている。
甲板の手すりにすがって呼び戻そうとするが、
女はまた笑う
「ほらあ手をふってる、あなたも振りかえしてあげなさい」
波頭を突っ切りながら片手を差し上げてる長男が遠くに見える。
まだ小さな次男は兄に遅れまいと荒波をかぶりながら懸命についていく。
自分も反射的に手をあげた、が、それを振るのはぐっとこらえた。
代わりに、差し上げた右手の親指をゆっくりと天に突き出し、サムアップのサインを送った。
「 Good bye and Good luck !」の意味だ。
それを見た二人の少年たちはボートのスピードをぐんと上げた。
自由を得たその晴れがましそうな顔といったら…
やがて彼らはこちらを追い抜き、左右に大きな弧を描きながら遠くに離れて行った。
という様な夢を見た。。。